婦人科検診について

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婦人科検診について

CANCER

婦人科検診の目的は、がんなどの悪性の病気や、治療が必要な病気はないか調べることと、定期的な検診を受けていることで早期発見・早期治療へつながります。
当院では、子宮頸がん検診、子宮体がん検診、卵巣がん検診、女性特有の病気を早期発見するための各種検診・検査を行っています。
気になる症状がなくても、婦人科検診日として定期的な検診をおすすめいたします。

子宮がんは2種類あります

子宮にできるがんは2種類あります。「子宮頸がん」は、子宮の入り口である子宮頚部にできるがんです。「子宮体がん」は、子宮の奥にある子宮体部にできるがんです。同じがんですが、かかりやすい年齢や発生の原因も異なるがんです。

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の入り口である子宮頚部にできるがんで、20代~30代と若い世代に多いがんです。
子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因であることがわかっています。HPVは日常においてありふれたウィルスで、性交渉の経験がある人は誰でも感染の可能性があります。ただし、HPVに感染しても多くの人は自然に排除するので感染した人すべて子宮頸がんになるわけではありません。感染が持続することで細胞が変化して異形成(前がん病変)になり、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。自覚症状がほとんどなく進行しますので、早い段階で発見することが大切です。
子宮頸がんと診断される発症ピークは、妊娠や出産を希望される時期に重なります。
妊娠中の検査で子宮頸がんが分かることもあり、治療のため妊娠継続をあきらめなければいけないケースもあります。
早期に発見できれば子宮を温存したまま治療することもでき、その後の妊娠も可能です。
定期的に検診を受けることが、子宮頸がんの予防になります。

検診方法

子宮頸がん検診は、子宮の入口にある粘膜細胞を綿棒でこすり採取する方法です。
生理中の検査では、正確な結果が得られない場合もありますので、生理中を避けての検診をご案内しております。
子宮頸がん検診の結果により、HPV検査や、精密検査としてコルポスコピーという拡大鏡を使って子宮頚部の組織を採取する病理組織検査を行います。
※他院の検診で要精密検査となった方も判定結果により当院で対応しております。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について

HPVワクチンは、HPVに感染しないことで子宮頸がんを予防します。
性交渉の経験前に接種することが推奨されています。
現在日本では、対象年齢(小学高6年生から高校1年生まで)の女の子を公費によって無料で受けることができます。
その年齢を過ぎても効果がないわけではなく、20代、30代でもご希望で接種は可能です。
接種費用は自費となります。

当院で取り扱っているHPVワクチン
  • 4価ワクチン(ガーダシル)
  • 9価ワクチン(シルガード9)

子宮体がん

40歳以上に増加するがんです。子宮の内側にある内膜(体部)に発生するので子宮内膜がんとも呼ばれています。卵胞ホルモン(エストロゲン)が過剰に産生されることで子宮内膜増殖症を発症し、これが前段階となって子宮体がんに進行することが知られています。月経とは異なる出血が続く場合や閉経後に出血することがあれば、婦人科受診をすることで早期発見につながります。

検診方法

子宮体がん検診は、経腟超音波で子宮内膜の状態を確認し、正常より子宮内膜の厚みがあれば、子宮内膜細胞診を行います。

卵巣がん

卵巣がんは、子宮の両脇にある卵巣に発症するがんです。卵巣にできる腫瘍は、良性腫瘍や境界悪性腫瘍(良性と悪性の中間)であることが多いという特徴があります。
40代から発症率が増加し、50~60代が発症のピークとなります。また遺伝により発生する遺伝性卵巣がんというタイプもあり、卵巣がんの1割を占めています。
自覚症状が少なく、がんが進行すると、腹部の張りや下腹部痛、頻尿や便秘の症状があれまれます。
卵巣がん検診は、経腟超音波検査で子宮や卵巣、骨盤内の状態を調べます。
卵巣腫瘍を認めた場合には、血液検査にて腫瘍マーカーを調べます。
※乳がん治療中の方や、子宮頸がんや体がん、卵巣がんの家系にある方は、1年に1回の婦人科検診を受けられますことを、おすすめいたします。

婦人科良性疾患

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮にできる良性の腫瘍で、30代~40代の女性に多くみられます。
筋腫は閉経すると小さくさるので、女性ホルモンが関与しているといわれます。

子宮筋腫は、できる場所により、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)に分けられます。
筋腫の場所や大きさによって、不妊や流産の原因になりやすく、人により症状もさまざまです。

子宮筋腫により起こりやすい症状
  • 月経血量が多い→貧血になりやすい
  • 月経痛が重い→鎮痛剤の効果がなくなる
  • 月経痛以外に腰痛や下腹部痛がある
  • 便秘気味になる
  • 頻尿になりやすい
定期検診や治療について

子宮筋腫があっても、小さくて無症状の場合は治療の必要はなく、半年~1年の定期検診を受けながら経過観察となります。
子宮筋腫の治療法は「薬物療法」と「手術」があります。
症状や筋腫の大きさの状態、妊娠・出産への影響も考えながら治療は検討されます。
手術が必要な場合は、連携施設へご紹介をしております。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、本来子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、卵巣や骨盤腹膜、子宮の周辺組織に発生する病気です。
女性ホルモンの作用で増殖、出血を繰り返し、病巣は炎症や周辺組織との癒着をおこします。卵巣にできる子宮内膜症は、卵巣チョコレート嚢胞といいます。
子宮内膜症の症状では、激しい月経痛や、月経時以外の下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛などがみられます。また不妊の原因にもなります。

診察・治療について

子宮内膜症の診察は、内診と経腟超音波検査を行います。
治療法は、薬物療法と手術療法になります。
薬物療法は、対症療法として、鎮痛薬、漢方薬などで症状の緩和を図る方法と、子宮内膜症そのものに働きかけるホルモン療法(ピルや偽閉経療法)があります。
治療法は、症状や病状、年齢や妊娠を希望するかなど総合的に判断し、患者様のご希望を伺いながら選択されます。

卵巣嚢腫

卵巣は子宮の左右にあり、卵巣に発生する液状の内容納めた袋状病変で、20歳代~30歳代に多い良性腫瘍です。
嚢腫の内容物の種類によって、子宮内膜症により卵巣内にチョコレートのような古い出血が貯留する「卵巣子宮内膜症嚢胞(チョコレート嚢胞)」、水や粘液が貯留する「嚢胞腺種」、皮膚や毛髪、歯などの体の部位の組織が貯留する「皮様嚢腫」などがあります。
また排卵後、一過性に卵巣が腫れてくる場合がありますが(機能性のう胞や黄体のう胞と呼ぶ)、自然に消退することが多いので、経過観察を行います。

症状
  • 下腹部にしこりがある
  • 下腹部痛がある(痛みが激しい場合もある)
  • 腹痛・腰痛がある
  • 頻尿・便秘である

卵巣嚢腫は、ほとんど自覚症状はなく、ある程度の大きさになってから様々な症状が現れることが多いです。大きくなることで茎捻転(卵巣の根元がねじれる)を起こす可能性があり、茎捻転は激しい痛みがあります。

診察・治療について

内診(触診)、超音波検査(経腟・腹部エコー)で、卵巣嚢腫の有無や大きさ・状態を調べます。
卵巣嚢腫の種類や良性か悪性かの予測として、血液検査(腫瘍マーカー)や、CT検査、MRI検査を行う場合もあります。
卵巣嚢腫が見つかっても、悪性の疑いがなく小さいもので症状が無い場合は経過観察となります。ある程度の大きさや、疼痛、腹部の圧迫感など症状がある場合は、手術療法の適応となります。
卵巣子宮内膜症嚢胞(チョコレート嚢胞)は、ピルなどのホルモン療法で縮小が期待できるため、ホルモン療法を行うことがあります。

子宮頚管ポリープ

子宮の入口と膣をつないでいる部分を子宮頚管といい、この部分の粘膜組織が増殖し垂れ下がってくるのが子宮頚管ポリープです。
大きさは、米粒(2~3㎜)から大きいものになると親指大(1~3㎝)になります。
子宮頸がん検診時や婦人科診察の内診時に発見されます。
症状は、血の混じったおりものや、性交時の出血などあります。
ポリープが小さく、自覚症状もなければ経過観察で様子を見ることもできますが、治療としてはポリープを切除します。
小さいポリープであれば、当院で切除も可能です。
大きいポリープの場合、連携施設へご紹介する場合もあります。